ChatGPT Images 2.0にて生成

ダイバーシティ研修のなかで管理職の方から、次のような質問、話を聞くことがあります。

「部下のプライベートについて、聞く必要はあると思うのですが、どう聞いたらいいのでしょうか?」

「ハラスメントだと言われるのも面倒なので、部下とは業務以外のことは、当たり障りのない会話しかしません」

職場内の多様化が進むにつれて、上司の役割は、上意下達から、職務として(もしくは仲間、応援者として)、部下を理解して支援することに移行してきました。この役割の変化はかなり浸透してきていると感じます。

この管理職の役割の変化に、会社として「業務上必要なプライベート」とは何かの統一見解の形成が追いついていないため、多くの管理職は、自分が若い頃にされたようなコミュニケーションの取り方ではハラスメントと受け取られかねないのではないかと迷っています。

もちろん、全く気にしないで部下と話しているという管理職もいます。だからといって、気にしすぎですよ~と受け流してしまうと、必要なコミュニケーションが不足してしまう可能性が残ります。

部下のプライベート、どこまで聞く?OK例とNG例で解説

部下の業務成果や働き方に影響があるプライベートについては、聞くべきです(どこまで話してくれるかは、部下との信頼関係に左右されます)。一方、外見や服装、趣味・嗜好など、興味本位の詮索につながる内容であれば、聞くべきではありません

以下のOK例とNG例は、違いがわかりやすいように極端な会話例にしています。比較しながら、管理職にプライベートを詮索するつもりがなくても、部下がそう受け取るような聞き方をしていないかについても、チェックしてみてください。

OK例①「かなり疲れが溜まっているように見えますし、ミスが増えていますが、睡眠時間、ちゃんと取れていますか?」

NG例①「かなり疲れが溜まっているように見えますし、ミスが増えていますが、休日は何をしているのですか?」

OK例②「女性特有の健康課題への対処に職場として取り組んでいきます。例えば、生理(月経)関連で仕事に支障がある等、気になっている、困っていることはありますか?今、話しにくければ、メールなどでも構いません」

NG例②「女性特有の健康課題への対処に職場として取り組んでいきます。時々、体調が悪そうにしている時があるのは、生理のせいですか?」

OK例③「(性別などの属性を問わず全員に対して)来年の業務計画、人員計画をつくっていますが、勤務時間や残業などの働き方で、配慮が必要なプライベートの変化はありますか?」

NG例③「(女性部下にだけ)来年の業務計画、人員計画をつくっていますが、結婚や妊娠の予定はありますか?」

OK例とNG例を比べると、OK例は業務上の目的(ミス、健康課題への取り組み、人員計画)を示したうえで個人の事情や事実を聞いている、NG例は個別具体的なその人固有のことをいきなり聞いている点が大きな違いです。

いきなり、個別具体的なプライバシーに踏み込むような質問をされたら、拒否感を抱くのは普通の反応ではないでしょうか。またNG例は、上司のアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)や、解釈、評価が含まれている点にも特徴があります。

部下のプライベートについて聞くときのチェックリスト

  • 管理職の役割として、多様な部下を理解し、力を発揮し、働き続けることを支援するという目的に適った質問をしているか?
  • 部下のプライベートを根掘り葉掘り聞き出すような、個別具体的な、個人的な事象に焦点を当てた質問になっていないか?
  • その質問は、性別などの属性を問わず全員に対してできる質問になっているか?

特に3つ目がわかりやすいチェックポイントだと思います。

プライベートをざっくばらんに雑談できる関係は必須?

プライベートについて、ざっくばらんに雑談できる関係をつくっておかなければならないと思い込んでいる人もいますが、必ずしもそうではありません。この話をすると、「ちょっと気が楽になった」と言われます。もちろん、自然とそのような関係がつくられ、何でも話せる、相談できる関係性があると、安心できる部下はいますが、そのような関係性を望まない部下もいるので、必須ではありません。

実際、雑談は得意ではないとおっしゃっていても、部下が求めたときには、相談に乗り、上司として判断・対応をしている管理職を知っています(部下からの信頼も厚いです)。意図が明確で必要な場面で「業務上、必要なことを聞く」、部下が相談したいと思ったときに、言い出しやすい環境をつくっておくことが大事なのです。

部下から話してもらえるようなしかけ、環境づくりとは?

例えば次のような、上司が「聞き出す」のではなく、部下から話してもらえるようなしかけができるといいです。

  • 全員がいる場もしくは、全員宛のメッセージで、「業務成果や働き方に影響があるプライベートの変化や悩みがあれば、いつでも相談してほしい」と、一度だけでなく、年に数度は伝え続ける。
  • 管理職がダイバーシティ研修を受講したら、その内容を部下に共有する(会社として、多様な人材が働き続けることを支援していく、その環境づくりに取り組んでいる最中であること)
  • 部下との面談(1on1)で、担当業務の話だけでなく、今後のキャリアについての部下の考えを聞く

聞こうかどうか迷ったときに

部下と話していて、プライベートなことに立ち入ってしまう質問が頭に浮かんだときは、どうしたらいいでしょうか?

ある程度の信頼関係がある上司・部下であれば、自然に、プライベートに踏み込んだ雑談に発展することは珍しいことではありません。自然な会話として、双方に違和感がなければ一般的には問題がないようにみえますが、上司に違和感がないからといって、部下がそう感じているとは限りません。

また、上司・部下の関係性によっては、業務や働き方に関係がない状況で、答えて当然のようにプライベートなことを聞かれると、不快になるようなことも想像に難くありません。

部下とのコミュニケーションの選択肢として、「業務には関係ないんだけど…」、「自分の興味本位なんだけど…」、「答えにくかったらそう言ってもらって構わないのだけど…」等、部下に答えなくてもいいという選択権がある聞き方を心にとめておくとよいと私は考えています。

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