相談されると、すぐアドバイスしていませんか

シリーズ:「この人になら話せる」と思われる上司の習慣(全4回)
▼第2回▼ 相談されると、すぐアドバイスしていませんか― 最初の一言・聴き方・ほめ方
第1回はこちら⇒ 「いつでも相談して」と言ったのに、なぜ誰も来ないのか


以前実施した、女性リーダー候補のキャリア研修でのひとこまです。グループワークで「自分が目指したいリーダー像」を考える時間があり、そのなかで、ある参加者がこんな話をしていました。

「私の上司は、とてもいい人なんです。前向きで行動力があって、一緒に頑張ろうという気持ちにさせてくれる。そこは見習いたい。でも…相談しても、相談にならないんです」

グループの人が「どういうこと?」と聞くと、こう続きました。

「相談をもちかけると、上司の経験をもとに『大丈夫だよ』『こうしたらいい』と話してくれる。そのときは、そうかなぁと思うんです。でも、いざやろうとすると、なんか違う、と思ってしまって。結局、ほかの先輩にも相談してしまうんです」

おそらく、上司の側には「ちゃんと相談に乗ってあげた」という手応えが残っているのだと思います。でも、部下からしたら、いい人で慕ってもいるけれど、相談が「相談にならない」。そして部下は、「他の人にも相談してみよう」と感じている。

上司の経験談には価値があると思うのですが、部下の成長にはつながっていかないとしたら、もったいないと感じました。

これあらた公式キャラクター「ほこれくん」

このすれ違いを解消し、より部下の成長につながる相談対応にするための方法について、相談に来てくれた“そのあと”を三つに分けて考えていきます。

1.最初の一言

相談に来た部下のなかには、すぐに解決策がほしくて相談してくる人もいます。でも、自分で考えることが必要です。一方、経験のある上司ほど、話を聞くと、すぐに答えが浮かびます。だからつい、こう言ってしまう。

NG:「あー、それね。こうすればいいよ」

OK:「うん、聞かせて。どのあたりで迷ってる?」

NG例では、部下がまだ状況を話しきらないうちに、アドバイスしています。良かれと思ってしたアドバイスですが、部下は「ちゃんと聞いてもらえなかった」と感じています。OK例は、まず受け止め、本人に話す余地を残しています。最初の一言を、答えではなく問いから始める。それだけで、部下が自分のことばで説明しよう、自分で考えようと気づくのです。

2.聴き方

相談が「相談にならない」最大の原因は、ここにあります。上司が、自分の経験をもとに話しすぎてしまうのです。

冒頭の上司も、相談内容から自分の経験が浮かんだのだと思います。けれど、部下には、上司の経験談が解決策には結びつきませんでした。部下の視点からみれば、上司のアドバイスの前に、自分の考えを整理する時間が必要だったのではないでしょうか。

NG:「私も似た経験があるよ。まずはこうして…」

OK:「なるほど。それで、自分ではどうしたいと思ってる?」

確かに、経験がある上司のアドバイスには説得力がありますので、その場では疑問は浮かばないかもしれません。でも、あらためて考えてみると、自分に起きていることと、上司のアドバイスがうまく結びつかないことがあります。アドバイスを一つ渡すより、問いを一つ返す。一方的に話すのをやめて、本人の言葉を引き出す。それが、自分で考え、自分で進めていく力をつけます。

3.ほめ方

最後は、ほめ方です。相談の場でほめると聞くと、何をほめるのか?と疑問に思うかもしれません。

ほめる対象は、相談の中身だけではありません。相談に来たこと、そこまで自分で考えてきたこと。その過程に目を向けます。

NG:「いいね、その調子でいこう」

OK:「自分なりに、ここまで考えてきたんだね。特に、この視点はいいと思う」

NG例は、励ましてはいますが、何が良かったのかが残りません。OK例は、考えてきたプロセスを、具体的に認めています。具体的にほめられた経験は、「この人は、ちゃんと見てくれている」という信頼になり、次の相談につながります。“相談される上司”は、遠回りのようですが、結果、部下を育てます。

まとめ

冒頭の部下の話し、「いい人なんだけど、相談にならない」。よかれと思って渡していたアドバイスが、部下の成長のきっかけを奪っていたのです。答えを渡すより、一緒に考える。そこから、部下は変わります。


シリーズ:「この人になら話せる」と思われる上司の習慣(全4回)
次回(第3回)は、「『今はムリ』をどう言うか ― 指摘・助言・断り方」です。部下から相談を受けたあと、言いにくいことをどう伝えるかをお伝えします!

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