「この人になら話せる」上司の9つの習慣【保存版】

シリーズ:「この人になら話せる」と思われる上司の習慣(全4回)
▼第4回▼ 「この人になら話せる」上司の9つの習慣【保存版】
第1回はこちら⇒ 「いつでも相談して」と言ったのに、なぜ誰も来ないのか
第2回 はこちら⇒相談されると、すぐアドバイスしていませんか
第3回 はこちら⇒何でも聞いてくる部下。原因は、上司のためらいかもしれません

3回にわたって、私がこれまで出会った管理職やその部下の人たちの話から見えてきた、「この人になら話せる」上司の習慣を、9つに分けてお伝えしてきました。

ただ、書きながらずっと考えていたことがあります。9つの習慣は、言葉や態度としてマネしようと思えばマネできるものかもしれません。でも、この9つの習慣の根本には、もっと大事なことがあると思っています。

それは、これまで私が出会ってきた、「この人になら話せる」と慕われる上司の姿にあらわれています。

これあらた公式キャラクター ほこれ と あらら

「この人になら話せる」上司の像

1つ目は、部下の相談に、自分なりの思いを重ねて向き合う人。 2つ目は、自分の過去の経験を絶対視していない人。 3つ目は、部下の話を聴いて一緒に考え、悩み、困る一方で、経験を踏まえて、必要なときには的確なアドバイスや情報提供をする人。

たとえば、子育てと仕事の両立に悩む部下に、こんなふうに応じる上司がいます。「とても大変だろうけど、うらやましいなぁ。自分も今だったら、もっと子育てに関わりたいと思うよ」。

上司は、自分にも答えがないこと、部下の姿と自分の思いを重ねて、正直に伝えている。だからこそ、部下は「この人には話せる」と感じるのだと思います。悩みを否定されず、解決を急がされず、思いを重ねてもらえたからです。

3つ目については、少し補足します。

第2回・第3回を読んで、アドバイスをしてはいけない、と受け取られたかもしれませんが、そうではありません。必要なときには、経験を踏まえた的確なアドバイスや情報提供をする。それは、上司にしかできない大切な役割です。

問題は、アドバイスすることではなく、自分の経験を絶対視したまま、部下と一緒に考えることも悩むこともなく、渡してしまうことなのだと思います。

9つの習慣(第1回~第3回でお伝えしてきた9つの習慣のまとめ)

第1回:相談を受ける前の下地づくり

  1. 普段の様子 ― 機嫌が安定していて、誰にでも同じ態度で接する
  2. 相談歓迎の伝え方 ― 相談していい“タイミング”と“程度”まで伝える
  3. 相談に応じるときの態度 ― 手を止め、顔を上げ、体を向ける

第2回:相談されたとき

  1. 最初の一言 ― 答えではなく、部下への問いから始める
  2. 聴き方 ― アドバイスをひとつ渡すより、問いをひとつ返す
  3. ほめ方 ― 結果だけでなく、考えてきたプロセスを具体的にほめる

第3回:言いにくいことを、どう伝えるか

  1. 指摘のしかた ― 人格否定ではなく、考えていることや迷いを聞く
  2. アドバイスのしかた ― 答えを伝えず、失敗しても大丈夫という後押しをする
  3. 今はムリ、断り方 ― 対応できるまでの時間を部下が自分で考える時間に変える

9つの習慣セルフチェック

  1. 部下は、私の機嫌をうかがわずに話しかけているだろうか
  2. 「いつでも相談して」を、具体的な言葉で繰り返し伝えているか
  3. 声をかけられたとき、手を止めて顔を向けているか
  4. 相談された最初の返事が、アドバイスになっていないか
  5. 部下の考えを聞く前に、自分の経験を一方的に話していないか
  6. 相談に来たこと、考えてきたプロセスをほめているか
  7. できていないことを、人格否定で指摘せず、つまづいている点を確認しているか
  8. 答えを伝える代わりに、失敗しても大丈夫という後押しができているか
  9. すぐに対応できないと断るとき、部下が考えるヒントを伝えているか

いかがでしたか?完璧な人はいませんし、部下も完璧な管理職を求めているわけではありません。部下は、自分たちのために、工夫したり、努力してくれる管理職の姿をみて、感謝したり、それに応えようとしているのだと思います。

私自身は、どうだったか

チェックリストを見ると、私自身が管理職をしていたときには、かなりの割合で部下にアドバイスや答えを渡していたことに気づかされます。

当時は、よくないことだという自覚がありませんでした。今ふり返れば、自分の方が見えているものが多い、知っていることが多いと、無意識に思っていたのだと思います。

「聴く」ことを意識するようになったのは、組織に所属する管理職ではなく、独立のキャリアコンサルタントという立場になってからです。

相談を受け始めたころ、相談者の話を聴きながら、その人の考えや気持ちよりも先に、組織の状況や管理職の関わりを把握したいという衝動に駆られている自分がいました。

けれど、私はいくら話を聞いたところで、その組織のことを本当の意味で理解することはできません。管理職でもありません。アドバイスをする立場にはないのだと、気づかされました。

では、私にできることは何だろう。そう考えてたどり着いたのが、「聴く」ことでした。相談者が見ている世界を、私からの質問を通じて言葉にしてもらう。自分なりの答えを導き出し、行動できるように、問いを重ねて一緒に考える。一般的なアドバイスであっても、それを質問の形にして、ぶつけていくようになりました。

9つの習慣の、根本にあるもの

けれど、上司は違います。組織を知り、経験もあり、答えを持っています。だから一層、上司が聴くということは難しいのだと思います。それでも聴くことに意識を向ける必要があるのは、「答えを持っていても、それが部下の答えとは限らない」からです。だから、自分の答えをいったん脇に置いて、部下と一緒に考える。

ときには、上司でも答えをもちあわせていない問題があります。そのときは、一緒に困る。同じ組織にいて、同じ課題を背負っている上司だからこそ、部下は安心して、自分も考え、困ることができるのだと思います。

そうやって関わってもらった部下は、自分の悩みを周囲に伝えることへの不安が低いように感じます。ひとりで抱え込まず、積極的に相談できる。それは、9つの習慣を、ただのテクニックとしてではなく、思いを重ね、経験を絶対視しない姿勢とともに受け取ってきたからではないでしょうか。

上司の日々の関わりが、周りに自然に相談できる部下を育てていき、組織にもそのよい流れが波及していくのだと思います。

ひとつだけ試すなら

とはいえ、9つの習慣を一度に身につけるのは、大変です。まずは、ひとつだけ。

答えを言いたくなったら、それを一度、質問に変えてみる。「こうしなさい」ではなく「どうしたらいいと思う?」。経験を伝えるにも、「私はこうした」ではなく「こういう手もあるけど、どう?」。渡すものは同じでも、渡し方を変えるだけで、部下の受け取り方は変わります。

アドバイスが口から出かかったとき、その前に一言だけ、質問してみる。私のおすすめの一歩ですが、他のどこからでも構いません。皆さんそれぞれのの一歩を、探してみてください。

シリーズ:「この人になら話せる」と思われる上司の習慣(全4回・完)、いかがでしたか。よろしければ、感想を聞かせてください!最後までお読みいただきありがとうございました。

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