
今回の記事は、仕事と子育ての両立をしてきて、仕事を辞めた方がいいのかなと悩んでいる人に向けて、「迷っているのは、あなただけではない」という話と、その迷いを分かち合い、解決策を模索するための「話せる仲間の見つけ方」、そして、相談することは「相談される人の力にもなる」ことについて書いています。
人事や管理職の方々には、両立中の社員の悩み理解の一助にしていただければと思います。そして、両立の悩み解消と離職を防ぐと同時に、両立する先輩社員のキャリアビジョンの実現の機会にもなる、『社内での「話せる仲間」づくり』を、社内のしくみとしてぜひ導入いただきたいです。
ほとんどの人が1度は辞めるかどうかで迷っていると思う
私自身のこれまでの妊娠・出産・子育てを振り返ると、幸せな時間もある一方で、自分一人の時間・人生ではないことを、折に触れて感じてきました。一言でいえば、なんとも大変だなぁ…ということです。皆さんはどう感じているでしょうか?
妊娠中、出産後1年以内であれば、体調の変化も大きいでしょう。お子さんが乳幼児期から学童期であれば、病気や日々の小さな事件やトラブル対応と、思うようにならない日々を重ねている方もいらっしゃるかと思います。
保育園あるあるですが、朝の出がけに子どもが“う○ち”をすると言い出すだけでも、1日のスタートから狂う小事件になりますね。私も10数年前の記憶がよみがえります。
そして、中高生になれば、子どものお世話という時間・やることは減るものの、勉強や人間関係、反抗期と、子どもも親である自分も未知の世界に対応することでの消耗もあるでしょう(←私は今ここです)。
妊娠・出産・子育て、そして両立生活を通じて、自分が本当に大切にしたい価値観に気づくこともあります。このままでいいのか?という新たな悩みが生じます。
辞めるかどうか、迷うことは、1度や2度ではないかもしれません。1日、1日を乗り切っては、毎晩、辞めた方がいいのかどうかと迷っている人は少なくありません。
「自分だけ大変だとアピールしている」と言われてしまう
日々、次々に起こる事件は、職場の人には想像もつかないことですから、うまく伝わらないことが多いものです。ちょっと雑談で話したつもりが、「あの人、自分だけ大変だとアピールしている」と言われてしまったことで、辞めたい気持ちが一気に膨らんで相談にくる人も少なくありません。
多くの場合は、両立生活で精神的にいっぱいいっぱいになってしまっていて、自分の状況や気持ちを分かってもらいたい気持ちが職場であふれ出してしまった結果です。頑張っているからこその感情ですから、大切に扱いたいものです。
そのために本人が工夫できることは、「伝え方」と「仲間づくり」です。
職場では、周囲の人には仕事のカバーをしてくれていることを感謝しつつ、お互いのスケジュールや繁忙度に影響することに絞って、事実(保育園で感染症が流行っている、締め切りが迫っている案件がある等)を共有することを意識して伝えるとよいでしょう。
そして、職場に、両立の状況や気持ちを分かり合える仲間がいなければ、職場以外に仲間をつくりましょう。
仲間づくりのポイント
両立中は、常に時間に追われている、出勤時間が限られることで職場の人とのコミュニケーションの絶対量が減ってしまう、家族とですら会話が減ってしまうこともあります。そうなると、どんどん視野が狭まってきて、思考も内向き、後ろ向きになりがちです。迷ったり悩んだりしているなら、仲間をみつけて、一人で煮詰まらないようにしましょう。
社内で両立中の先輩社員を見つける
両立していく際に、会社の制度の利用方法、どのように周囲の人の理解を得ていくかは、社内の人に相談するのが一番の近道です。自分では両立中の先輩社員に出会えないときには、上司・同僚や人事等に紹介を依頼してみることは、やってみる価値があります。
女性社員のキャリア研修で将来ビジョンを発表してもらうと、「両立する社員のロールモデルになれるように頑張りたい」、「自分が困ったことで後輩が困らないように環境づくりに取り組みたい」というビジョンが語られることは少なくありません。そういった先輩たちとつながって、頼り、頼られる関係が社内にも見えるようになると、悩んでいる自分だけでなく、後に続く後輩たちも安心して相談ができるようになります。
社外で子育て中・両立中の人を見つける
出産前のパパママ学級、地域の子育て支援センター・公園等で出会った人に、「仕事をしていますか?」と聞くのは不躾で気が引けます。ちょっとした会話ができたタイミングで、育休中ならば「保育園を探す予定はありますか?」と聞くと、両立予定の人かどうかがわかります。
また、2026年4月から「こども誰でも通園制度」が全国で本格実施されています。保護者の就労の有無を問わず、生後6か月から満3歳未満の未就園児が利用できるしくみです。自治体に申し込んで利用してみると、保育園の先生が同じように不安を抱える仲間をつないでくれるかもしれませんし、すでにその保育所に通園している親子と仲良くなれるチャンスがあるかもしれません。
人事・管理職の方へ
先ほど紹介した「ロールモデルになりたい」「後輩が困らない環境をつくりたい」という言葉は、キャリアビジョン研修の場で毎回出てきます。これは、企業にとって二重の意味を持ちます。悩んでいる社員の離職を防ぐと同時に、先輩社員自身のキャリアビジョンの実現の機会にもなるということです。
つまり社内の「話せる仲間づくり」は、両立中の社員への配慮ではなく、人材育成施策、キャリア支援施策です。にもかかわらず、多くの企業でこれは個人の善意任せになっています。以下のような「しくみ」をぜひ検討いただければと思います。
相談は、する人もされる人、どちらにとっても価値がある
東畑開人さんが「ふつうの相談(金剛出版)」で次のように書かれていました。
専門家による特別な支援だけが人を支えているのではありません。キャリア相談に来る前に、社内外の誰かに話せていたなら、と思う場面が多々あります。
悩んでいるとき、誰かに相談するのは悪いなと思う人も多いと感じます。私がそうなので気持ちはわかりますが、両立に関する悩みの相談は、する人とされる人、どちらにとっても価値があるものだと実感しています。
悩みの解消につながらなかったとしても、孤独感の解消と相談できる場がある安心感は、両立する社員が仕事を続けるモチベーションになります。また、相談を受ける人にとっては、誰かから必要とされ役に立てること、働きやすい職場づくりに貢献している実感が、仕事と両立へのモチベーションになるのです。
どんどん相談し、相談される輪を広げていきましょう!



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