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上手なSOSの出し方・相談のしかたをアドバイスすると、ストレスを溜め込んでいた方の顔が輝くことが少なくありません。また、上手にSOSを出したり相談ができていたら、「退職せずとも、もっと組織のなかで成長の機会をつくれただろうな」と残念に(もったいないと)思うこともあります。
有効求人倍率が高く(東京都では5倍を超える)、転職のハードルが低い(離職率は10%程度なので著しく高いわけではない)保育業界。ストレスを溜め込んだり、退職してしまう前に、ぜひやってみて欲しいことをまとめました。
組織はすぐには変わらない、でも、自分の考えを伝えないと変わらない。仕事で上手にSOSを出す、相談することは、自分から組織に働きかけること。それは、保育士さんが主任や園長を目指す際にも、貴重な経験になります。子どもたちにも、組織にも役に立っているという実感を、保育士さんがもてるよう、キャリアコンサルタントとして園運営、個々人の働く悩みに寄り添い、支援していきます。
※保育園、保育士さん向けに書いた記事ですが、どのような組織にいる方でも参考になると思います。
1. 「子どもの健康や安全の確保」と「発達の保障」の両立のジレンマ
保育の仕事は、「子どもの健康や安全の確保」と「発達の保障」をどう両立させていくのかが課題です。
保育士の喜びは子どもの笑顔や成長した姿を身近で感じられること。「子どもの発達」のためなら、もっともっとやれることがある、やりたい、と120%、150%で頑張れてしまう。でも、体力的・精神的な無理を重ねると、「子どもの健康や安全の確保」への体力的・精神的ゆとりがなくなり、常に広く目と気を配ることができなくなってしまい、最悪な事態としては事故につながります。
保育士個人任せではなく、園としての「子どもの健康・安全と発達保障の両立」そのための「残業削減、持ち帰り残業削減」への取り組みが必要です。
2. 求められる「保育士のSOSや相談をいつでも受けとめる、改善にいかす姿勢としくみづくり」
園として、保育士のSOSや相談をいつでも受けとめる、改善にいかす姿勢としくみづくりが大切です。(園としての姿勢としくみづくりのポイントは今回は扱いません)
なぜなら、保育士が抱えている何とかしたいという気持ちは、「子どもの健康・安全と発達保障の両立」そのための「残業削減、持ち帰り残業削減」への取り組みを進めるうえでの宝だからです。また、思っていることを具体的なSOSや相談として伝えることができると、保育士の無用なストレスを減らすこともできます。
どのような組織でも完璧な、問題のまったくない組織はないので、保育士が園としての取り組みが不十分だと感じることはごく自然なこと。園長やベテランン保育士としては、若手保育士のSOSや相談が苦情や文句に聞こえたとしても、誇りと理想をもって園を支えてきたことに自信をもち、前向きな意見としてまずは受けとめて欲しいと思います。
3. SOSの出し方、相談のしかたがわからず戸惑う若手
組織として、「話し合おう、助け合おう、相談しよう」という方針があったとしても、特に若手の保育士は、具体的にどうしたらいいのかわからずに戸惑ったり、諦めてしまうことがあります。保育士に限らず、どのような組織でも、若手は忙しそうなベテランに遠慮したり、大したことではないと相談するのをためらったりするものです。
また、上手に伝える方法がわからず、文句として受け取られてしまうことも少なくありません。
でも、一人で憤りを感じてストレスを溜め込んだり、園長や主任に文句と受け取られてしまっては、ものごとは前に進みません。具体的な「SOSの出し方、相談のしかた」も園全体で共有しておきたいですね。
4. SOSの出し方、相談のしかた
- 何か起きてからではなく、具体的な何かがわからなかったとしても気になったことはすぐ伝える
「Aさん(保護者)が○○と言っていたことが気になっています。」 - できなくてスミマセンではなく、成長のために・子どものためにお願いしますという気持ちをことばにする
「○○ができるようになりたいので、××についてアドバイスをいただけませんか?」 - 感想・感情ではなく、事実・意見を伝える
NG
「○○先生が子どもに××と言っていたのは許せない!」
Good
「Aという状況での○○先生の××という声かけで、子どもの表情とその後の行動からBという問題が起こっていたと考えられる。具体的な声かけのしかたを全員で考えたいです。」 - 文句ではなく提案(どうしたいのか、どうして欲しいのか)を伝える
NG
「仕事量が不公平なので、なんとかしてください!」
Good
「A業務で○○だけ時間がかかるので、B業務は他の先生にお願いするか、〆切を××まで延ばしていただくことはできませんか?」
組織は一人ひとりの人がつくっていくものです。上手にSOSや相談を伝えて、よりよりサービス提供、よりよい職場をつくっていきましょう。
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