「働き方改革」で失った大切なもの

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働き方改革。

ちょっとした違和感、何と言っていいのかわからない違和感を持っている人でも、「いいですね、必要ですね。」と表面的に言うのではないでしょうか。

私は、「働き方改革」に反対をしているわけではありません。生産性を上げて、しっかり働き、しっかり休む。時間・場所等の制約があっても、より多くの人が力を発揮できる環境を整えること。いずれも大賛成ですし、進めていく必要があります。一方、仕事に全力で注力する時期や人がいないと、進むものも進まない、生まれるものも生まれないとも思います。

男性中心、24時間・365日働ける人だけが活躍できる環境では、立ち行かない。それをどうしていくか、会社も従業員も一緒に知恵をしぼって協力して進めていくのが、「働き方改革」だと考えています。だから、本来、働き方改革を進めていくにあたってのちょっとした違和感、何と言っていいのかわからない違和感は、もっともっと組織のなかで、オープンに共有していく必要があるのです。

私が、「働き方改革」に感じている違和感のひとつに、表面的に「無給の残業をなくせばよい」「残業時間を減らせばよい」としてしまうことがあります。お客様の話や従業員の意識調査結果を見ていると、表面的な解決で済ませてしまって、大切なことを伝える機会までも失ってしまった企業が少なからずあると感じるのです。

新入社員・若手社員の一部から、次のような意見が出ている企業を例とします。

  • 始業前に掃除をするのはおかしい。
  • 早出をして始業準備(鍵開け、整理整頓、コピー機チェック、来客準備、資料コピー等)を新入社員・若手社員がやるのはおかしい。
  • 無給でやらされているのはおかしいから、自分はやりたくない。

過去には、このような意見が出たこともあったと思われますが、変わらずに慣習として続いてきました。でも、「働き方改革」に国をあげて取り組んでいる現在、このような声が出ると、企業としては放置しておくわけにはいかないという空気があります。

そこで、「無給かつ当然のように新入社員・若手社員にやらせていたのは、会社として間違っていた。」とし、責任者が謝罪し、”始業前に無給の”、”新入社員・若手社員による”「掃除や始業準備」を止めて終わりとしてしまうことは、私は違うと思います。これは表面的な解決です。

もちろん、「掃除や始業準備」を有給の業務にしてもいいのですが、いずれにしても、その業務の意味や価値を検討し、やるべきは続け、やめるべきことは止める、伝えるべきことは伝える、必要なら議論することが必要ではないでしょうか。

「始業前に(無給で)掃除をするのはおかしい」「新入社員・若手社員だけがやらされているのはおかしい」という新入社員・若手社員の主張に対して、もし、それを止めるのであれば、私は次のことを伝えたいです。

  • 自分を育て、支援してくれている周りの人たちへの感謝の気持ちを忘れないこと
  • その感謝の気持ちを、どんなことでもいいから行動で返すことを忘れないこと
  • 始業前や就業後、休み時間など、ちょっとしたコミュニケーションやアドバイスをもらえるチャンスを自分からつくること

たとえ無給であったとしても、「掃除や始業準備」には、このような大切な意味(感謝の気持ちを行動で返す、業務外でのコミュニケーションを広げる)があったと私は思います。このような考えは、日本的で古臭いものでしょうか?私は、これらを失いたくないものだと思いますが、ご意見があったらぜひ聞かせてください。

 
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