自分のどんな力で社会に貢献するのか

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今回の震災報道を通じて、たくさんの働く方々へのインタビューを拝見しました。どなたのお話も、仕事に対する思いがあふれていました。

  • スーパーの店員
    1日も早く、お客様に笑顔で買い物をしてもらいたい。
    自身も被災し、身内の方も行方不明の男性店員。
    そのような状況でも、津波で損壊した店舗の片づけと清掃を行っている。給料が出る保証はおそらくないだろうと思う。
  • 農家・ほうれん草の作り手
    食の安定供給が使命だから。
    基準値を超えた放射性物質の影響で、ほうれん草が出荷停止となり、ご自身の畑で育てたほうれん草をすべて処分した男性。
    そして、出荷停止という現状のなかで、その土地に新たにほうれん草の種まきをするという。
    50日後の収穫時にどのような状況かはわからないが、種まきしておかなければ供給はできない。
     
  • 医師
    最後のご奉公だと思って、診療を続ける。
    福島原発の避難対象地域で診療を続ける男性医師。
    いったんは避難したものの、自分がすべきことは何かを考えて、戻って診療を続けている。
    「最後のご奉公」の意味するところは語られていなかったが、年齢は60~70才くらい、これまでの人生、地域での暮らし、患者さんに対する思い、いろいろな思いが含まれているのではないかと感じた。

なんのために仕事をしているのか、自分のどんな力で社会に貢献するのか

私は、学生の就職相談の仕事もしているのですが、「社会に貢献する仕事をしたい。」、「人の役に立つ仕事をしたい。」という学生にたびたび出会います。私は心のなかで、「社会に貢献しない仕事や、人の役に立たない仕事はないのにな。」とつぶやきつつ、「たとえば、どんな仕事をイメージしているの?」と質問します。たいていの学生さんは答えに詰まり、「よくわからなくて困っているんです。」と言うのです。
 
今の学生は、大学入学当初から(最近では、高校生のときから)、何のために働くのか?ということを、キャリア教育の講義を通じて考える機会があります。それ自体は悪いことではなく、だからこそ、「社会に貢献する仕事をしたい。」、「人の役に立つ仕事をしたい。」という思いにたどり着いたのでしょう。でも、頭でっかちになってしまっていると感じます。
 
自分にはどんな力があるのか、どんな力を仕事にいかせるのかという、地に足がついた思考が欠けていると思うのです。たとえば、福島原発に放水をしてくださった消防の方、自衛隊の方。人の役に立ちたいという思いだけでは、到底できる仕事ではありません。知力・体力・使命感・向上心など、数え切れない力を備えていて、かつ努力を続けていらっしゃる方々なのだろうと想像します。
 
使命・目的(なんのために仕事をしているのか)から考えることも大切ですが、具体的な手段(自分のどんな力を仕事にいかすのか)も同時にしっかりと考えることが大切なのではないでしょうか。自分の持てる力で仕事を続けているうちに、自分の仕事の使命や目的が見えてくることがあると、私自身、実感しています。
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