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上司がせっかくいいアドバイスをしていても、部下が押しつけられている、責められているように感じてしまっていることがあります。また、上司から言われえることは絶対的なアドバイス(命令)だと感じていると、部下は考えることもしなくなります。
せっかくのアドバイスが活かされない状況、もったいないですね。あなたのコミュニケーションスタイルはいかがでしょうか?「押しつけ」と「尊重」の違いからみていきます。
「押しつけ」になってしまうアドバイス
「押しつけ」になってしまうアドバイスは、上司の過去の成功体験(信念)に基づく”こうすべきだ!”というワンパターンの手段のアドバイスであることが多いのです。
- お客様先には足しげく通うべきだ。
- お客様の姿が見えたら、即、立ち上がるべきだ。
- 人に聞くのは、自分で十二分に考えた後にすべきだ。
従業員およびお客様満足度が高いことで有名なある企業をお訪ねしたときのことです。会社のドアを開けると、従業員が一斉に立ち上がったことに目を見張りましたが(さすが教育が行き届いた会社だ!と思いました)、その後に違和感を感じました。一斉に立ったものの、無表情で、さらに私がそこにいる間中ずっと、ぼんやりと立ち尽くしているのです。
おそらく、社長からお客様が来社されたら立ってお迎えするようにと教育されているのだと思います(手段の伝達)。さらに、そうしないと怒られるのでしょう、厳しい社長ですから。でも、従業員は、なんのためにそうするのかを説明されたことも、自分で考えたこともないのでしょう。
だから、立って挨拶をしてくれているのに、お客である私は「歓迎してもらっている」と感じることはなく、かえって居心地の悪い思いをさせられてしまったのです。
部下の考えを「尊重」したアドバイス
部下の考えを「尊重」できる上司は、手段ではなく「目的」を共有しています。こうすべきだ(手段)ではなく、この目的を果たすためにどうしたらいいか、自分で考えてやってみようというアドバイスです。
先ほどの立ってお迎えする会社の例でいいますと、まず初めに、「遠いところから来社してくれるお客様に、”歓迎”の気持ちを伝えよう」、「そのためにどうしたらいいか、自分たちで考えてみて」と、目的を共有します。
手段はいろいろ出てくるでしょう。
- 社内清掃に気を配る。
- お客様にわかりやすい案内表示を工夫する(駐車スペース、どこから入ったらいいのかなど)
- お客様が歩いているのを見かけたら、アイコンタクトをとりながら挨拶する(困っていたらいつでも声をかけてもらえるようになど)
そのようにして、従業員さんがそれぞれに手段を考えやってみる(もしくは最初から話し合ってみる)うちに、全員が統一して取り組んだ方がいいことを従業員さんが自分たちで決めていくのです(サービスの平準化)。
手段が目的化・形骸化してしまわないように、定期的に話し合い、サービスを見直し、常に新たな気持ちで取り組んでいくことも大切なことです。
上司の皆さん、「尊重と押しつけ」「目的と手段」という視点で、自分がしているアドバイスを今一度、振り返ってみてください。私も、この「目的から考えること」を、研修でも、個人のキャリアコンサルティングで重視しています。ご依頼いただいた企業の貴重な教育研修費が、その場限り(教えたことしかしない)で終わらないよう、これからも工夫をしていきます。
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